ランチタイムを少し過ぎた頃、隣に座った女性お二人
多分、親子でした
お母さんの面倒をお嬢さんが見つつ(といっても私より年上っぽい方でした)、パンケーキのランチを召し上がっていました
でも、あまり和気あいあいという雰囲気ではなく
「そこに置いちゃダメ!」
「それはスプーンじゃ、食べられないでしょ?」
あーしろ、こうしろ、こうしちゃダメ、やっぱりこうして、だから何度も言わせないで——そんな声が聞こえてきて、私は段々と、パンケーキに乗ったバナナの味が分からなくなり、ナイフを置きました
やれやれ、と一つ深呼吸
その瞬間、「もう!!なんで!!」という声と共に、カキーンと「怒」マークが飛んできたような衝撃を感じました
自分の「交感神経」が反応していることに気づく
はい、一旦自分の状況をサーチしてみよう
心臓がドキドキして、脈も速く、呼吸も浅い
肩と肩甲骨に力が入り、鎖骨の下あたりも緊張しています
交感神経がバリバリに覚醒している状態です
「逃げる」か「戦う」かのモードが発動して、食事どころではなくなっていました
やれやれ
以前の私なら、どうしていたでしょうか
睨みつける(戦うモード)、立ち去る(逃げるモード)、なかったことにする(凍りつきモード)
分厚い鎧を着込んで、無視して、なかったことにしていたかもしれません
グラウンディングで、怒りの奥にあるものを感じてみる
でも今の私には、神経系の知識と、ヒーリングのスキルがある
呼吸を整え、身体に意識を集中させ
グラウンディングを深め、自分の中心とつながっていきます
グラウンディングは、究極の神経系メンテナンス方法だと思う
少しずつ意識を広げていったその瞬間
お嬢さんの、日々の疲れ
解決されていない感情のもつれ
理想と現実、ままならない不自由さ
老いへの恐れ、別れへの恐れ
お母さんの、申し訳ない気持ち、すまない気持ち
お母さん自身の、まだ解決されていない感情
それでも、娘と一緒にいられることへの安堵や嬉しさ
そういったものを、なぜか感じてしまい、なんだか、お二人を抱きしめたくなってしまいました
声を荒げる娘も、謝る母も、それぞれに苦しんでいる
そりゃあ、毎日のことですもの、疲れますよね
お母さまも、頑張っていらっしゃいますよね
ままならないことも、ありますよね
声を荒げてしまうことが、一番イヤなのは、お嬢さんご本人のはずです
いや、分かんない
ただの、私の投影かもしれない
それでも、私の中にあった怒りや緊張はどこかへ消えていき、残ったのは、慈しみの思いだけでした
本当は、それをそのまま伝えられたらいいのですが、色々な過去の思いが、それを難しくさせているのかもしれません
ふと顔を上げると、一瞬、お嬢さまと目が合いました
私は、笑みを返しました
不思議なことに、そこからは、とても穏やかな食事の時間になったのです
「愛して欲しかったのに、与えなきゃならない」という矛盾
継続コースを受けてくださっている方の中には、ご両親との複雑な感情を抱えたまま介護をし、最後を看取られた方が、数名いらっしゃいます
あの方々も、こんな風に苦労されたのだろうか
こんな、やるせない気持ちになっただろうか——そんな思いを馳せていました
女性が、母親に対して複雑な感情を抱くのには、やはり理由があります
そこを解決しておくと、子育ても、介護も、楽になるのではと思うのです
癒されない傷を抱えたままの子育て・介護は、なぜしんどいのか
多くの場合、「やってほしかったことを、やってもらえなかった」のに、今度は自分が「やってあげなければならない」立場になってしまいます
愛してほしかったのに
甘えたかったのに
守ってほしかったのに
本人は、もらえなかった痛みを、抱えたままです
自分はもらえていないのに、与えなければならない——それを、苦痛に感じてしまうのです
まず、我が子によってその過去の傷をえぐられ、次に、実際に傷を負わせた張本人である母親によって、また生傷をえぐられる
これは、以前お話しした子どものプライバシーと境界線の話にも通じますが、親子の間で「独立したひとりの人間」として尊重されなかった経験は、こうした形で、大人になってからも痛みとして残り続けます
癒されていない傷を抱えたままの子育てや介護は、本当にしんどいものだと思います
まとめ:与えられないのは、あなたのせいじゃない
だからこそ、子育てがつらいと感じている方は、まず自分自身を癒すことが、何よりも大切です
そして、周りに助けを求めることも大切です(まずは、自分がそれを「禁止」してしまっていることに気づくところからです)
無理をしないでください
ひとりで頑張らないでください
あなたが与えられないのは、与えることに苦痛が伴うのは、あなたのせいではありません
そして、お母さんのせいだけでもありません
また、こうした痛みの背景には、封建制度から続く世代間の価値観の断絶が関わっていることも少なくありません。あなたの親世代が置かれていた環境について知ることも、自分を癒す一つの手がかりになるかもしれません
親との複雑な感情を、一人で抱えているなら
子育てや介護の中で感じる、割り切れない感情は、あなたが冷たいからではありません。カウンセリングでは、その感情の背景にあるものを、一緒に丁寧に紐解いていきます
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