安心は、大人になってからでも育て直せる|愛着理論が教えてくれること

安心は、大人になってからでも育て直せる|愛着理論が教えてくれること 身体からのアプローチ

「人に甘えるのが苦手」

「困っていても、誰かに助けを求められない」

「いつも自分ひとりで何とかしようとしてしまう」

「人と一緒にいても、なぜか安心できない」

「本当は誰かに頼りたいのに、頼るのが怖い」

もし、そんな感覚があるなら

それは、性格の問題ではないかもしれません

心理学には、「愛着理論」という考え方があります

心理学者・精神科医のジョン・ボウルビィが提唱した理論で、子どもが特定の養育者との間に形成する情緒的な結びつきが、その後の心の発達や対人関係に大きく関わることを説明するものです

子どもは、不安や恐怖、驚きなどのストレスを感じたとき、養育者に近づいたり、抱っこを求めたりして、安心を取り戻そうとします

泣く、抱っこしてもらう、背中を撫でてもらう、「大丈夫だよ」と声をかけてもらう

そうやって、

「怖かったけれど、誰かが助けてくれた」

「不安だったけれど、安心できた」

という経験を重ねていく

私は、この「愛着」をもっと身体感覚に近い言葉で表すなら、

「安心して人とつながれる感覚を育てること」

なのだと捉えています

子どもは「安心」を自分ひとりではつくれない

小さな子どもは、自分で環境を変えることができません

怖くても、その場から逃げられない
お腹が空いても、自分で食べ物を用意できない
寂しくても、自分で誰かを呼びに行くことができない

だから、

「怖い」→「誰かに助けてもらう」→「安心する」

という経験が、とても大切

何度もそういう経験をすることで、

「怖くなっても大丈夫」

「困ったら助けてもらえる」

「自分はひとりではない」

という感覚が、少しずつ育っていきます

これは、頭で理解するものではなく、身体の体験から得られる知識です

でも、いつでも安心できるとは限らない

もちろん、現実の子育てはそんなに完璧にできるものではありません

親だって、生活を回さなければならず、仕事もあり、疲れることもあります
子どもが泣いていることに気づけないこともあれば、気づいても、すぐに応えてあげられないこともある

家庭の事情で親子が離れ離れになることもあれば
環境の大きな変化や、突然の出来事に遭遇することもあある

そうした経験が積み重なる中で、

「怖いときに安心できる人がそばにいる」

という体験を、十分に得られないこともあるでしょう

だからといって、

「親の育て方が悪かった」

「自分の愛着が壊れている」

という単純な話ではありません

そもそも、すべての場面で子どもを安心させられる親なんていませんので
誰でも、

「あのとき、もっと!!」

という経験を、多少なりとも持っているのかもしれません

私自身にも、そんな記憶があります

私自身、小さい頃のそんな記憶があります

夜中にふと目を覚ましたとき、真っ暗な部屋に一人だった記憶

怖かったのだろうと思います
でも、記憶の中の幼い私はただ、じっと暗闇を見つめていました

今では、虐待となる行為ですが、当時働く母親への支援はとても少なく、夜勤のある看護師であった母としても、已む無くであったことも知っています

ただ、小さな私の身体に残ったのは、

「怖い」

そして、

「でも、誰も来ない」

という経験でした

そうした経験は、後になって、

「ひとりで耐えなければならない」

「誰も助けてくれない」

「世界は冷たい」

といった、自分なりの世界の捉え方につながっていくことがあります

もしあのとき、誰かが抱っこしてくれて、背中を撫でてくれて、「怖かったね。大丈夫だよ」と言ってくれていたら

あの夜は、「怖かったけれど、安心できた」という記憶になっていたのかもしれません

でも実際には、私の中には、

「怖くても、ひとりで耐えなけら」

という信念が残りました

子どもの頃の「安心」は、大人になっても影響する

こうした幼い頃の経験は、「昔のことだから、もう関係ない」とは、なかなかななりません

人との距離感
誰かを頼ること
助けを求めること
自分の気持ちを表現すること
ひとりになったときの感覚
人と一緒にいるときの安心感

そういったものに、幼い頃に身につけた「世界の捉え方」が影響することがあります

たとえば、

「どうせ誰も助けてくれない」と思っていれば、
困っていても人に頼れないかもしれない

「迷惑をかけたら嫌われる」と思っていれば、
甘えることができないかもしれない

「ちゃんとしていなければ大切にされない」と思っていれば
いつも頑張り続けるかもしれない。

そして本人は、

「私は甘えるのが苦手なんです」

「人に頼るのが嫌いなんです」

「自分でやったほうが楽なんです」

と思っている、でもその奥には、

「頼っても大丈夫」という安心を、十分に経験できなかった

という背景がある場合も多いのです

では、大人になった私たちはどうすればいいのか

過去の経験が今の自分に影響しているとしても、

「だから私は一生このまま」ではありません

大人になってからでも、
安心を育てていくことはできます(できるよ!)

過去をなかったことにする必要もありません
親を責め続ける必要もありません
「あのとき、こうしてもらいたかった」という気持ちがあるなら、それをなかったことにしなくていい

そのうえで、

「今の私は、自分に何を与えられるだろう?」

と考えていってほしい

「自分を愛する」が難しい方へ

そのために、

「自分を愛しましょう」
「自分を大切にしましょう」
「自分を褒めてあげましょう」

と言われることがあります

もちろん、それができるなら、ぜひやってください
でも、「自分を愛するって、どうやるの?」という人も多いのです

私自身も、そうでした

「今日もよく頑張ったね、私♡」みたいなのが
なんだか嘘くさくてwwできない!したくない!

なので、私はもっと簡単なところから始めることをおすすめしています、それが、

「事実の確認」

です

まずは、事実を確認する

すごいと言われそうなこと、褒められそうなことを私たちは探したくなっちゃうのですが

確認してほしいのは、もっと地味なことです

「今日も、ちゃんと会社行ったね」

「疲れているのに、晩ご飯を作ったね」

「もっと寝てたいと思ったのに、遅刻しなかったね」

うんうん、そうだよね!私!

これだけです
褒めなくていい、感謝しなくていい、前向きにならなくていい

もちろん、褒めてあげたいよね!と思ったら褒めてあげて
感謝したくなったら感謝してあげてください

まず、「今日、自分に何が起きたのか」を、そのまま確認する

やってみたい方は、今日、自分にこう聞いてみて

  • 今日、私にとってどんな一日だった?
  • 私は、何をした?何を我慢した?
  • 疲れている?元気?
  • 誰かに助けてもらえた?それとも、一人で頑張った?

答えを出そうとしなくて大丈夫
ただ、思い浮かんだままを、評価せずに並べてみて

そうすると、頭の中から、

「もっとできたでしょ」

「こんなの誰でもできる」

「これくらいで疲れるなんて情けない」

「もっと頑張らなきゃ」

なんていう声が出てくるかもしれない
その厳しい叱咤激励は、ちょっと横に置いておいて

そう、事実だけを、もう一度見ます

とても地味、だけどやったら確実に変わるから、ぜひやってみて

「私はこう感じた」「私はこうだった」という自分の経験を、自分自身がちゃんと見てあげる

それは、

「私は私の味方でいる」

の、最初の一歩になるのです

過去を変えるのではなく、これからの経験を増やしていく

大人になった私たちは、過去に戻ることはできません

でも、これから先の経験は、増やしていくことができます

「疲れたら休んでもいい」

「困ったら人に頼っていい」

「嫌なことから離れていい」

「自分の気持ちを大切にしていい」

「怖いときには、誰かに助けを求めてもいい」

「今日の私は、今日の私として十分にやってきた」

そういう経験を、ひとつずつ積んでいく

すると、過去の記憶そのものが消えなくても、その記憶に対する今の自分の関わり方が、変わっていく

愛着というと、「親との関係」「子どもの頃の経験」という、過去の話に聞こえるかもしれません
でも私は、

「これから、自分自身とどんな関係をつくっていくのか」

という話をしたい

過去に誰かから十分に受け取れなかったものがあるなら、今の自分が、自分に与えていく

自分の身体に気づく、自分の気持ちに気づく、自分の経験を否定しない、必要なときには人を頼る

そして、「私はどうしたい?」と、自分に問いかける

そうやって、少しずつ自分との関係をつくり直していく

その先に、

「私は、私と一緒にいて大丈夫」

という感覚が育っていくのだと思います

そして、自分で自分の安心をつくれるようになることは、
「誰にも頼らなくていい」ということではありません

むしろ、自分の中に安心できる足場ができるからこそ、

「困ったときは、人に助けを求めてもいい」
「誰かに甘えても大丈夫」
「一人ではできないことがあってもいい」

と、人を頼ることもできるようになります

自分の足場があるからこそ、誰かとつながることができる

私は、そんなふうに思っています

まとめ|安心は、今日からでも育て直せる

安心とは、何も怖くない状態ではありません

怖いことがあっても、

「なんとかなる」

「私は自分を見捨てない」

「必要なら誰かに助けを求められる」

と思えること

それは、子どもの頃にしか育てられないものではなく、大人になった今からでも、少しずつ育てていくことができます

もし今、「私は人に頼れない」「いつも一人で頑張ってしまう」「なぜか安心できない」と感じているのなら

それは、あなたが弱いからでも、愛される価値がないからでも、性格が悪いからでもないかもしれません

もしかしたら、ずっと一人で頑張ってきた身体が、

「本当は、安心したかった」

と教えてくれているのかもしれません

まずは今日、「今日はおつかれさま!」と、自分に目を向けてあげるところから
大げさに自分を愛さなくてもいい、ただ自分に起きたことを、自分がちゃんと見てあげる

その小さなところから、安心を育て直していくことができます

いまのあなたの状況に、本当に必要なことは何か、探求していきましょう
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