「お兄ちゃんだから」が、大人になっても抜けない理由|我慢し続けてしまう人の心理

「お兄ちゃんだから」が、大人になっても抜けない理由|我慢し続けてしまう人の心理 ビリーフ・思考のクセ

夕方、散歩の途中で一休みしていたら
お母さんの足元にしがみついている4、5歳くらいの男の子が、目に留まりました

「だっこ!だっこ!だっこがいいぃぃぃ!」
男の子の、ギャン泣きしながらの大絶叫

こういう「魂からの叫び」って、大人になると、なかなかできなくなりますよねぇ
眩しい思いで見ていますが、お母さんもお疲れモード

「自分で歩くって言ったでしょ!」

お母さんは、大きなお腹で右手に買い物袋、左手でもう一人の男の子と手をつないでいます
なるほど、その状態で抱っこは無理ですねぇ

「だっこ!だっこ!だっこしてぇぇぇ!」

「お母さん、抱っこできないの!」

堪えきれなくなったお母さんも、負けじと声を張り上げました

そうよねー、お母さんだって大変だ
でもきっとね、この子が欲しいのは、抱っこされることだけじゃないんだよ

自分が甘えたいのを、一生懸命我慢していることを、
わかってるよ、助かってるよ、ありがとう、って認めてほしいんだと思うのよ

だって、まだ小さな子どもなんだもん
弟と比べたらそりゃお兄ちゃんだ、だけど
お母さん、僕だって甘えたいのを必死に我慢しているんだ

だって、僕は「お兄ちゃん」だから

私は心の中で、
「お兄ちゃん、頑張ってるねぇ!えらいねぇ!」
と声を掛けました

(もし、心当たりのあるお母さんがいたら
たまには、お兄ちゃんだけを甘えさせてあげる時間があってもいいのかもしれませんね
「我慢してくれてありがとう」って、伝えてあげるのもいいと思います)

なぜ「お兄ちゃんだから」は、大人になっても抜けないのか

いつもお母さんは、弟の手を取っている
お腹の中には、もう一人赤ちゃんがいる
お母さんの両手は、いつも誰かでいっぱい

僕は、自分で歩ける
「お兄ちゃんだからね」そう言われてきたのかもしれない

でも、僕だってまだ4、5歳
本当は、お母さんに甘えたい、お母さんを独占したい
僕を見てほしい、僕と手をつないでほしい、僕を抱っこしてほしい

僕だって、まだ小さいんだよ!

そんな寂しさや悲しさや、やりきれなさが、
その男の子の「だっこ!」に全部詰まっているように感じました

こんな切ない体験が一度きりなら、いいのですが
生活は、毎日毎日繰り返されるのです

毎日毎日、お兄ちゃんは、この切ない気持ちを味わいます
ここから先も、何年も…

さらに、ここから新しい兄弟が生まれ、お母さんを求める子どもは、ますます増えていく

「我慢すれば、お母さんは助かる」

「泣かなければ、迷惑をかけない」

「自分で歩けば、褒められる」

そうして子どもは、「我慢するのを当たり前」のこととして身体で覚えていきます

これは、頭で「よし、我慢しよう」と決めているわけではなく
もっと身体の奥深くの無意識のレベルに記憶されていきます

だから、大人になっても、

「なぜか人に甘えられない」

「なぜか助けを求められない」

「なぜか、自分のことを後回しにしてしまう」

という形で、その「身についたやり方」がそのまま残ってしまうのです

理由が分からないまま、パターンだけが繰り返される
これが、「お兄ちゃんだから」が大人になっても残り続ける理由のひとつです

「お兄ちゃんだから」が、大人になっても残るしくみ

もちろん、弟が悪いわけではありませんし、お母さんが悪いわけでもありません
お母さんだって、必死です

お腹に赤ちゃんがいて、買い物袋を持って、弟の手をつないで
そのうえで、泣いている長男に、「もうお兄ちゃんなんだから、自分で歩いて」と言うしかなかったことは容易に想像できます

誰かを大切にしようとすると、別の誰かに十分に手をかけられないことがある
愛していないからではなく「手が足りない」ただ、それだけのこともあるでしょう

でも、子どもには、その事情は分かりません

「お母さんが忙しいから」ではなく、

「僕より弟のほうが大事なんだ」

「僕は我慢しなきゃいけないんだ」

と受け取ってしまうことがあります

そのときの経験から、
子どもなりに「こうしていれば大丈夫」「こうしなければ愛されない」という、自分と世界についての捉え方を身につけることがあります

私は、こうした無意識の思い込みを「ビリーフ」と呼んでいます

「人に甘えられない」「助けを求められない」「欲しいものを欲しいと言えない」
「大丈夫」と言ってしまう、自分のことは後回しにしてしまう、誰かの役に立つことで、自分の居場所を確かめようとする

それはもしかしたら、「お兄ちゃんだから頑張る」という、幼い頃の生き方が、そのまま続いているのかもしれないのです

ビリーフがどのように人生に影響していくかは、
[なぜビリーフ(潜在意識)を書き換えると「世界が変わる」のか]で詳しく解説しています)

我慢し続ける人が、無意識にやっていること

「我慢し続ける人」には、いくつか共通する行動パターンがあります

  • 助けを求める前に、自分で何とかしようとする
  • 本当は嫌でも、「大丈夫」と言ってしまう
  • 誰かに頼ることに、罪悪感を感じる
  • 自分の欲求よりも、周りの状況を優先してしまう

そして、こうした行動を、本人は「自分の性格」だと思っていることがほとんどです

「私はしっかり者だから」

「私は面倒見がいいから」

「私は一人でも平気だから」

でも、その奥には、

「甘えたら、迷惑になる」

「我慢すれば、愛される」

「自分のことは後回しにしなければ、居場所がなくなる」

という、幼い頃に身についた思い込みが隠れていることがあります

これが、「性格」ではなく、あの頃の自分が生きるために身につけたパターンだと気づくことが、抜け出す第一歩になります

あのときのお母さんも頑張っていた

ここで、もう一つ見てほしいのが、お母さんの側

あのお母さんも、きっと頑張っている
もしかしたら、あのお母さん自身も

「私がちゃんとしなきゃ」
「お母さんなんだから頑張らなきゃ」

と、自分を後回しにしてきた人なのかもしれません

子どもを抱っこしてあげたい、泣いたら優しく受け止めてあげたい、
一人ひとりにちゃんと向き合ってあげたい

でも、できない、身体も時間も、気力も足りない
そういうことって、ありますよね

そして、お母さん自身も、誰かに
「大丈夫だよ」「よく頑張ってるね」と言ってもらいたい日が、きっとある

誰も悪くないのです…

男の子も悪くない、お母さんも悪くない
みんな、そのときの自分にできる精一杯をやっている

大人になった「我慢する人」へ

もしあなたが、「長男・長女だから、ずっと我慢してきた」かもなぁと感じているなら

もしかしたら、あなたの中には今でも、あの頃の小さな「僕」「私」がいるのかもしれません

本当は甘えたかった、抱っこしてほしかった、自分のことを見てほしかった

「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」と言われてたって
僕だって、私だって、まだ甘えたかった

そう思っていた自分を、「わがまま」と片づけてしまわないでください

あのとき我慢したこと、言えなかったこと、欲しかったもの、寂しかったこと

それを、「そうだったんだね」と、今のあなたが見つけてあげる

そして、「ずっと頑張ってきたんだな」と気づいてあげる

それだけでも、何かが変わり始めます

そして、お母さんへ

もし、今これを読んでいるあなたが、子育て真っ最中のお母さんなら

「上の子に我慢させてしまった」
「もっと優しくしてあげればよかった」

そんなふうに、自分を責めてしまうかもしれません

でも、あなた自身も、ずっと頑張ってきたんじゃないでしょうか

毎日ご飯を作って、子どものことを考えて、仕事をして、家のことをして

泣かれれば困るし、怒られれば傷つく
眠れない日もある
自分の時間だって、ほとんどない

本当は疲れているのに、それでもお母さんをやっている

だったら、まずはあなた自身にも、

「私も、ずっと頑張ってきたんだな」

と言ってあげてほしいのです

完璧なお母さんなんて、いません

子どもにとって大切なのは、一度も寂しい思いをさせないことではなく、あとからでも、

「寂しかったね」
「本当は抱っこしてほしかったんだね」

と、その子の気持ちを一緒に見てあげられることなのかもしれません

「お兄ちゃんだから」の、その先へ

長男だから我慢する
お母さんだから頑張る
しっかりしている人だから、人に頼らない

そんなふうに私たちは、いつの間にか、我慢することや頑張ることを当たり前にしてしまうのかもしれません

でも、その「しっかりしている自分」の奥には、

本当は甘えたかった自分
誰かに頼りたかった自分
ただ、そばにいてほしかった自分

そんな自分も、いるのかもしれません

私たちはみんな、誰かに愛されたくて、誰かに見てほしくて
本当は、安心したくて

そのときの自分にできることを、一生懸命やってきたのだと思います

だから、もし今、

「私、なんでこんなに頑張ってしまうんだろう」
「どうして人に甘えられないんだろう」

と思うことがあるなら

すぐに何かを変えようとしなくてもいい

ただ、これまでの自分を振り返って、

「私、ずっと頑張ってきたんだな」

と、気づいてあげる

それだけでも、自分を見る目が、少し変わるかもしれません

「我慢することが当たり前になっていて、自分がどうしたいのか分からない」「人に甘えることに、罪悪感がある」——そんな感覚に心当たりがあるなら、その奥にある思い込みを、一緒に見ていきましょう

セッションでは、幼い頃に身についたパターンと、今のあなたの生きづらさのつながりを、丁寧にひも解いていきます

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