「やりたいことが見つからない」本当の理由

「やりたいのに動けない」の前に必要なこと

「進みたいけれど進めない」「やりたいのに動けない」――
こうしたお話はよく伺います

一見すると「行動できない」「やり方がわからない」という問題に見えますが、その背景にはいくつかの要因が隠れています

フェイクの「やりたい」

心理学的には、内発的動機づけと外発的動機づけという区別があります
そもそも「やりたい」と思っていることが、必ずしも本人の本心ではない場合
内発的動機づけが薄いので、モチベーションに結びつかない、ということが往々にしてあります

自分の欲求から出てきた行動(内発的)であれば持続性がありますが、周囲の期待や評価、世間的な「こうすべき」に応じた行動(外発的)の場合、やる気は続かず、挫折や停滞につながりやすいんですね

つまり「やりたいと思っているけれど進めない」ケースの中には、
実は「“やりたいこと”が本人の欲求ではない」場合があるのです

「やりたい」より先に、「やりたくない」の解像度を上げる

もうひとつ見落とされがちなのが、嫌悪感や不満といったネガティブ側の感情の扱いです

不快を見ることはストレスなので、たいてい私たちはそれを避けてやり過ごそうとします

でもどこかで「不快」であることは感じ続けている

そんなとき、しばしば「やりたいこと探し」に走ります

しかし、「不快」を直視せずに「やりたい」へ向かうことでごまかしてしまうと、根本的な問題は解決されないため、また同じ「不快」を体験するような、同じテーマが形を変えて再び現れてしまうことがあるのです(これもあるある)

重要なのは、「やりたくない」という「イヤだ」「不快」の解像度を高めること
これが自己理解を深める上で欠かせない作業なのです

ネガティブ感情の解像度が高い人ほど、自己理解が進んでいる

うまく人生をデザインし、切り開いている人は、自分の「嫌なこと」「苦手なこと」を詳しく把握しています

そして、それらを避ける工夫をしたり、外部に委ねたりすることで、自分の時間やリソース、エネルギーを最適化し、無駄遣いしません

「イヤだ」「不快」をあいまいにしたまま「やりたいこと」を追いかけるのは、重りをつけたまま飛ぼうとするようなもの

どれだけ前向きな目標を掲げても、実は「やりたくない」事をやっていることでのストレスと摩擦でエネルギーが奪われてしまっている方が、本当に多いのです

まとめ

「やりたいことが分からない」ときに、ポジティブ側ばかり掘り下げても成果は出にくいものです。
むしろ――

・どんな状況を避けたいのか

・どんな人間関係が自分に合わないのか

・どんな働き方はストレスになるのか

こうしたネガティブ側の「イヤだ」「不快」への解像度を上げ、自分の抱えているストレスを軽減していくことで、より自分の望んでいる方向への解像度も上がっていき、目標に向かって進むためのリソースも、モチベーションも上がります

やりたいことを自分にさせたいと願ったなら、まずは、「イヤだ」「不快」の解像度を上げることから始めてみてください