“本当の気持ち”って何?

「これって、本当の気持ちなんでしょうか?」
「本当にやりたいことなのか、自分でもわからなくて……」

そんなふうに、自分の気持ちが信じられなくなる瞬間、ありませんか?

私も日々のセッションでこの言葉をよく耳にしますし、
実際に、私自身がそう感じていた時期もありました

疑いはじめると、なぜ迷うのか?

その当時の私には、「本当の気持ち」がとても重要に感じられていたわけですが、「本当?」と問うてはいけなかったなと、今ならば思うのです

なぜなら、「本当?」と疑いはじめると、だんだんと本当ではないような気がして、疑いの迷宮に迷い込んでしまうから

たとえば、
「褒められる」
「安心される」
「期待に応えられる」
——そんな理由で何かを選ぼうとしたとき、
「それって、自分の本当の気持ちじゃないのでは?」と思ってしまう

逆に、
「誰かをがっかりさせても、それでもやりたい」
という衝動が湧いてくると、
「これが本音かも」と思う一方で、
「ただのわがままじゃない?」と、自分を責めたくなる

そうやって、「これは本当?」「これは嘘?」と、
自分の気持ちをジャッジしつづけていると、
だんだんと本心どころか、自分の気持ちがよくわからなくなってしまいます

“本物”でなければ“ニセモノ”?

では、今あなたが感じている気持ちは「本当」じゃないのでしょうか?
「やってみたい」と感じた、その瞬間の感覚は「偽物」なのでしょうか?

そんなことないはずなのです

気持ちには、正しい・間違っているという判断は必要ありませんし
「本物」か「偽物」かを決める必要もありません

そのとき、あなたが感じたこと
それこそが、いちばんリアルな「今の本当の気持ち」です

ゆらぐ気持ちも、それでいい

とはいえ、わかります
“やりたい!”を信じては迷ってきた私です、疑いたくなるのはわかります

「これかな?」と思って始めても、途中で違和感を感じてやめてしまう
「これだ!」と確信して動き出したはずなのに、続けられない

そんなことをくり返すうちに、
「また間違ってるんじゃないか」「もう自分の気持ちなんて信じられない」
そんなふうに思ってしまったことが何度も、私にもあります。

特に、これまで
「損得」や「正しさ」「善悪」などを軸に選択をしてきた人にとっては、
「気持ち」や「感情」は、よくわからないものと感じるかもしれません

感情は、ゆらぎやすくてすぐに変わってしまう、流動的なもの
あるのはいつも、「今、この瞬間の、自分の気持ち」です

そう考えると、「絶対にぶれない“本当の気持ち”」なんて、実はどこにも存在しないのかもしれませんね

“本当”にこだわるとき、そこにあるのは

たとえさっきと言ってることが違っても、
どちらもその瞬間には、自分にとっての真実

「これも本当」
「あれも本当」
「今はこう感じる」——それでいい

自分の気持ちに、白黒をつけようとしなくていい
「本当かな?」と心配するたびに、自信がすり減ってしまいます

“本当の”と人がつけたくなる時
そこには、失敗したくない、遠回りしたくない、という「恐れ」の感情が付いているように思います

私たちはつい、はっきりとした「正解」を求めたくなりますが
自分の気持ちというものは、答えではなく、方向を指し示す道しるべ
いきなり結論にたどり着こうとしなくていいんです

少しずつ、自分の感覚に耳を傾け、進んでいきましょう

揺れながら、迷いながらでも、
ちゃんと「今の本当の気持ち」とともに、前へ進んでいるはずです